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スラッシュ(Slash fiction)は、2人以上の男性間における幻想に焦点を当てたファン・フィクションであり〔Bacon-Smith, Camille. "Spock Among the Women." New York Times Sunday Book Review, November 16, 1986.〕、しばしば性的要素が入る。題材となるキャラクターは、「カノン」の世界(「正典」、「正史」、ファン・フィクションの世界とは違う原作の公式な世界設定を指す)では性的関係のみならず友情関係にも引き込まれていないこともある。また、この言葉は女性キャラクター同士の場合に当てはめることもできるが、別ジャンルとして「フェムスラッシュ」という言葉を用いるファンもいる 。書き手および読者の多くは女性である。 かつては1人もしくはそれ以上の男性キャラクターが露骨な肉体関係に巻きこまれる様子に重きを置いた作品が多かったが、現在は単に男性キャラクターが結びつくファンフィクションがスラッシュと呼ばれることが一般的になっている。 名前の由来は、話の中でのカップリングを示す際にスラッシュ記号(/)を入れたためである。なお、単なる友人関係の場合はアンパサンド(&)が用いられる(たとえば、アメリカにおいてこうしたフィクションの始まりとなった『スタートレック』シリーズのジェームズ・カーク船長と副長のスポックの間の性的関係を描くフィクションはKirk/SpockあるいはK/S、性的関係抜きの友情を描くものはK&Sと書かれる)。 == 歴史 == 一般的に、現在のスラッシュの大本となっているのは、『宇宙大作戦(原題:Star Trek)』のファン・フィクションのファンたちの集まり(ファンダム)において作られた ""の作品群であるとされている〔。このような作品群は女性のファンが書いてきたとされており、1970年代末に初めて登場した〔。 スラッシュという名前の由来は、前述の K/S のように、2人の恋愛関係(しばしば性的な関係になることもある)を描いた話を書く際、その2人の名前の間にスラッシュ記号(/)がはいっていることからきており、スラッシュや''K/S''といったことばは交互に使われてきた。このような二次創作は『特捜班CI-5』、『刑事スタスキー&ハッチ』, '':en:Blake's 7''などのファン層にも広まり〔 、ついには、スラッシュそのものを扱ったファンダムまで出来上がった〔Boyd, Kelly (2001) "One index finger on the mouse scroll bar and the other on my clit" : slash writers' views on pornography, censorship, feminism and risk 〕〔Henry Jenkins, with Cynthia Jenkins and Shoshanna Green,"'The Normal Female Interest in Men Bonking': Selections from Terra Nostra Underground and Strange Bedfellows ,"in Cheryl Harris and Alison Alexander (eds.) Theorizing Fandom: Fans, Subculture, and Identity (Hampton Press, 1998).〕 。 初期のスラッシュでは、カーク/スポックやスタスキー/ハッチのようにメインキャラクター同士のカップリングが多かった一方、 Blake/Avon のように、脇役とのカップリングもあった〔。 なお、単なる友人関係の場合はアンパサンド(&)が用いられる 初期の K/Sは、『宇宙大作戦』のファン全体には当初受け入れられず〔Jenna Sinclair, Short History of Kirk/Spock Slash . Retrieved 2008-06-30.〕、後にジョアンナ・ラスといった作家が論文の中でスラッシュについて研究・発表を行ったことで、学術的な研究地位が与えられた〔Russ, Joanna, "Pornography by Women for Women, With Love" in her book, ''Magic Mommas, Trembling Sisters, Puritans & Perverts''. New York: The Crossing Press: 1985.〕〔Penley, Constance, "Feminism, Psychoanalysis,and the Study of Popular Culture." In Grossberg, Lawrence, ed., ''Cultural Studies'', Rutledge 1992, p. 479. A detailed examination of K/S in terms of (among many other things) feminism and feminist studies.〕 。 スラッシュの登場から時がたつにつれて、同性愛に対する寛容や受容が進み、マスメディアにおける男性同性愛者に対する描写への不満がスラッシュの主題へと昇華しつつある。『スター・トレック』シリーズのスラッシュのファン層はいまだに重要視されている一方、SFやアクション・冒険もののテレビ番組や映画・小説のスラッシュのファン層も新たに発生してきた。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「スラッシュ (フィクション)」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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